社内研修コンテンツ作成と実施を社員が行うメリット

社員主導による社内研修コンテンツ作成と実施のメリット

社員が社内研修コンテンツの作成と実施に携わることには、組織の成長と個々の成長を促進する大きなメリットがあります。社員自身が研修を設計し実施することで、業務に対する理解が深まり、スキルや知識の向上が期待できます。また、社員間のコミュニケーションが活性化し、研修の内容が実務に直結するため、より実践的で効果的な学びの環境が整います。このプロセスは、社員のモチベーション向上にもつながり、組織全体の一体感や持続的な成長を支える基盤となります。

目次

社内研修を社員が作成から講習開催まで実施する大きなベネフィット

オーシャン・コンサルティングではオーシャン・アカデミーという社内研修制度を確立しております。オーシャン・アカデミーは、社員が参考書やセミナーで受けた知識だけでなく、クライアントで得た経験も含めて研修内容(弊社ではコンテンツと呼んでます)を作成しております。そのため受講者は受講した知識をクライアントで即活用可能な内容となってます。それだけでなく入社してすぐの社員も受講することで、クライアントに入ってすぐに不安に感じることなく、業務遂行することが可能となります。

また、企業風土、企業での業務遂行方法を統一させることが可能となり、企業バリューを最大化してクライアントに提供可能となります。

本コラムでは、社内研修制度を設けた1から検討して構築した、オーシャン・アカデミーの事例にご紹介させていただきながら、社内研修構築のベネフィットを紹介させていただきます。

社内研修制度は社員成長促進に必要不可欠

社員育成は、企業の成長や業績向上、競争力の維持において非常に重要な要素です。研修と言えば人材育成だけのイメージを持ってる方もいらっしゃると思いますが、社員が社員のために実施する研修は、「人材育成」、「組織の一体感」、「企業文化の浸透」と多岐にわたるメリットがあります。詳細は後述「オーシャン・アカデミーがもたらしたベネフィット」で記載させていただきます。

オーシャン・アカデミーとは

オーシャン・アカデミーは、未経験者をプロフェッショナルに育成するなど、社員一人ひとりのスキルレイヤーを底上げするための社内教育システムです。

社員の継続的なキャリアパス構築を会社としてサポートしていきたい!高まり続けるクライアント企業からの要望にしっかり応えたい!という想いから発足しました。

『社員の(確実な)成長』するための​仕組みの構築

経営計画では、社員育成して企業基盤を強化するという目標は立てられていたが、実際に社員を成長させるための仕組みがない結果、下記の事象が生じていました。

・経営戦略の実現、中期経営計画の実現、業績向上に貢献できる人材の育成を行えていない​

・社員の成長に対する意欲は、自主性に委ねられ、社員間で成長意欲格差が生じている​

そこで、経営計画に基づき教育すべきスキルの主軸を明確にし、目指すべき人材、習熟方法の仕組み構築から取り掛かりました。

オーシャン・アカデミーが目指すもの

オーシャン・コンサルティングの経営方針で、クライアント様から「オーシャン・コンサルティングなら信頼できる」企業を目指しております。そのためには現場で培った経験と知識を社員間で共有し、社員のスキルレベル底上げを図る必要があります。オーシャン・アカデミーでは、テクニカルなスキルだけでなく、プロジェクトマネジメントスキルやヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルといったものを共有・研鑽することで、「オーシャン・コンサルティングなら信頼できる」企業を目指しております。

社員による社内研修のデメリット

弊社の社員の大半はクライアントに常駐しております。そのため、業後にコンテンツ作成を実施する必要がございます。そのため積極的な社員以外、コンテンツ量が増えない状況が続いてました。そこで弊社では、「社員の自主性による成長」、「会社からの強制による成長」の2つの視点から、課題解決に臨みました。

多数の課題がありましたが、その一例の課題解決内容をご紹介します。

コンテンツ作成報奨制度の実施

常駐先の業務終了後に残業してコンテンツ作成を行ってもらう必要がありますが、どれだけの時間をかけてコンテンツを作成したのかを算出するのは難しいです。そのためなかなか社員のモチベーションが上がらない状態でした。社員の自主性を向上させるため、弊社ではコンテンツ作成するごとに、報奨金を設けております。また人事評価でも社内貢献として加点する仕組みを設けました。それによりコンテンツ量が増えるだけでなく、社員の中でもこんなコンテンツを作ったら面白いかもと意識の変革があり、講師の人数も増えてきました。

ランク4以上への昇格条件

弊社ではPMOレベルを設けてますが、レベル5のマネージャ以上に昇格するためには、オーシャン・アカデミーで講師を行うことを条件としております。それにより上位者がメンバーへレベルの高いコンテンツを共有する仕組みを設けております。

コンテンツ内容妥当性チェック

講師が共有したいスキル・経験をコンテンツにするのが一番濃い内容となります。ただし受講者だけでなく企業にとっても有益なコンテンツかは別問題となります。そのため、弊社ではコンテンツリリースまでに複数回の関係者の中でレビューを実施し精度が高い内容での研修を実施しております。

オーシャン・アカデミーの仕組み

オーシャン・アカデミーでは社員の成長促進するためにPDCAサイクルを行っております。また、講師(社員)が自身の好きなコンテンツだけを作成するだけでなく、目的に合ったコンテンツの作成を行っております。受講者もどのコンテンツを受講すればよいのかを確認できるようにしており、確実なスキルアップを図ることが可能です。

教育成長促進サイクル​

社員の教育を促進するために、『キャリアアップ検討』、『学習・習熟』、『業務による実践​』、『成長評価』のPDCAサイクルが有効と考えてます。それにより、社員の明確な成長を促進することが可能になりました。

キャリアアップ検討

会社の求めるべき人材を育成するための教育計画を策定する​

学習・習熟

多面的に社員評価を行い、成長度の可視化、及び向上を図る​

業務による実践

社員の確実な成長(学習・習熟)を促進するための施策を策定する​

成長評価

社員の成長度、習熟度を業務で発揮できているかを確認する

社員教育計画への組み込み

弊社では「キャリアフレームワーク」で必要なスキルレベルが設けられております。また、年3回社員評価面談を行っております。『キャリアフレームワーク』と評価面談による『レベル評価』を組み合わせることで、会社として統一された教育カリキュラムを構築と、社員レベルの底上げを可能としてます。

オーシャン・コンサルティングだけでなくグループ企業も一緒になり構築

オーシャン・アカデミーは、オーシャン・コンサルティングだけでなく、グループ企業も共同で実施されております。それによりオーシャン・コンサルティングだけで得られたスキル、経験を共有するだけでなく、グループ企業の社員が得たスキル、経験を共有することが可能な仕組みとなっております。

コンテンツ作成フロー

コンテンツ作成には決められたフローを作成して進めることで毎回講師がコンテンツ作成に困らない仕組みを構築しております。弊社でのコンテンツ作成フローを紹介させていただきます。

オーシャン・アカデミーコンテンツ作成Step​

オーシャン・アカデミーのコンテンツ作成は、「コンテンツ計画」、「コンテンツ準備」、「講習の実施」の3Stepで構成しております。各Stepに分けることにより、承認・報告の機会を設け、コンテンツの品質を担保しております。

1.コンテンツ計画

コンテンツ作成前に、コンテンツの実施目的、実施内容、および受講者の受講後目標等を明確にする。

2.コンテンツ準備

コンテンツを作成後、知見者のレビュー、アドバイスを経て、完成させる。また、研修のシミュレーションを行い、コンテンツの品質だけでなく、講師の品質を上げてから、オーシャン・アカデミー開催に臨む。​

3.講習の実施

講習を実施して終わりにするだけでなく、講習実施後、受講者のアンケート結果、自身の気づきを基に、コンテンツを修正する。また、オーシャン・アカデミー事務局長に講習結果を報告し、次回講習の品質向上を図る。

研修実施で終わりではなくPDCAでコンテンツ精度の向上

講習は、実施して終わりではなく、「Step3:講習の実施」を繰り返し行うことにより、コンテンツ品質を向上させ必要がございます。それにより講師、受講者のスキルを向上させることが可能になります。​

オーシャン・アカデミーの社内浸透の仕組み

研修制度を構築しても、コンテンツを作る社員、コンテンツを受講する社員がいなければ、無用の長物になってしまいます。そのためオーシャン・アカデミーが身近に感じられるようにわかりやすい構造を構築することで浸透しやすい仕組みにしました。「ポータルサイト」、「スキルマップ×コンテンツ」、「スキルエリア」と社員が見やすいく、理解しやすい仕組みを構築しております。

オーシャン・アカデミーポータル

ポータルサイトでは、研修一覧、メインの講師、社外研修等社員が自身に必要な情報を取得できるようにしております。

コンテンツ一覧

コンテンツの目的、コンテンツ内容、カテゴリ、受講必須ランクを記載してます。

講師一覧

各講師が得意とする分野を説明し、直接問合せ等を行い、スケジュールにない研修を実施したり質問を受けやすくすることが可能です。

社外研修一覧

オーシャン・アカデミーだけではなく、社外研修で講師が受講してためになった研修の一覧も記載してます。弊社では社外研修は会社が費用負担して受講可能な福利厚生も確立してます。

オーシャン・アカデミースキルマップ

ランクごとにどのコンテンツ受ける必要があるのかを紐づけた「オーシャン・アカデミースキルマップ」を作成することにより、自身が受けるべきコンテンツを迷わない仕組みを作成してます。また、ランクごとに受けるべき必須コンテンツについても明確にしてます。

スキルエリア

4つの「スキルエリア」に分けてコンテンツを作成しております。スキルエリアにはそれぞれ目的があり、それに沿ったコンテンツ作成を行っております。

プロジェクトマネジメントスキル

オーシャン・コンサルティングのPMOブランドを確立するための、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして、​クライアントに貢献するために必要なスキルを習得します。

テクニカルスキル

プロジェクト推進に必要なプレゼンテーション能力や、情報収集能力等のスキルを習得することにより、迅速なプロジェクト管理が行えるようします。

ヒューマンスキル

ビジネスパーソンの基礎を強化することにより、​プロフェッショナルとしてのビジネスマインドを醸成させ、ビジネスの考え方、あり方、進め方等を理解できるようにします。

コンセプチュアルスキル

物事の本質を見極め・整理、理論化して理解、言語化して他者への伝え方、課題解決に繋げたりするためのスキルを磨きます。

オーシャン・アカデミーがもたらしたベネフィット

前述までの通り社員が社員のために構築する社内研修には、大きなベネフィットを生みました。本章では7年間オーシャン・アカデミーを実施したうえで得たベネフィットを紹介します。

人材育成

人材育成は、社員のスキル向上やキャリア開発だけでなく、社員全体にビジネスマンとしての考え方の醸成を身に着けることに成功しました。

組織の一体感

共通の研修を受けることで、社員同士のコミュニケーションが活発になり、チームワークの向上や組織の一体感を強くなりました。

企業文化の浸透

研修を通じて、社員は共通の価値観や目標を共有し、組織全体で一体感を持つことができます。また、社員研修を活用することで、企業としてのクライアントでの立ち回り方や、社内風土の定着、帰属意識の向上等をスムーズに進めることができるようになりました。

オーシャン・アカデミーのコンテンツ

前述した通り、オーシャン・アカデミーではスキルエリアに分けたコンテンツの作成を行っております。ここではその一例を紹介します。

プロジェクトマネジメントスキル

目標イメージの一致こそPJの要 目標を達成するためには、ステークホルダー全員のイメージを一致させることが重要であることを学ぶ。
WBS作成演習WBS要素の導出方法、作成方法を学ぶ。
ガントチャート作成演習スケジュール/ガントチャートの作成方法を学ぶ。

テクニカルスキル

計画立案力向上         計画立案する際の、「発想」、「立案」、「構想」、「スケジュール」、「評価」等の発案から実行迄の方法を学ぶ。
タイムマネジメント 自身のタスクの効率化・スピード化を促進し、生産性を向上する為のコツを学ぶ。
伝わる課題管理表で混乱回避 伝わる課題管理表を活用し、混乱を回避し目標達成のための障害除去を行う。課題管理表がなぜ必要なのか、どのようなことに気を付けて課題管理表を記載するべきなのかを学ぶ。

ヒューマンスキル

議事録作成千本ノック     議事録作成のコツを知り、その練習を行う。
伝わる!戦略的プレゼンテーションプレゼンテーションを戦略的に構築する方法の概要を学ぶ。
アクティブトーキング自分の話したい内容だけどを『伝える!』のではなく、話した内容を相手に効率的に『伝わる!』ようにするための方法を学ぶ。

コンセプチュアルスキル

思考整理術        モヤモヤした思考を、メモに書き出し、目視することで、思考を整理・認識できることを学ぶ。
ラテラルシンキング思考の制約となる既成概念や固定観念を取り払い、水平方向に発想を広げる思考法を学ぶ。
反論力を鍛える!相手の論理の隠れた前提を認識し、論理の構造を理解した上で、相手の主張に反論する方法を学ぶ。

まとめ

社内研修制度を構築することで、社員だけでなく、企業自体、クライアント様へのベネフィットを拡大させることができます。ぜひ独自の社内研修制度の確立をご検討してみてください。また、社内研修制度構築でご質問があれば、ぜひオーシャン・コンサルティングへお問い合わせください。制度構築に向けてご協力させていただきます。

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