プロジェクト管理ツールとは

プロジェクト管理ツールは、その名の通りプロジェクトを管理する機能を多数備えているシステム・ツールです。プロジェクトごとの進捗を管理したり、タスクやスケジュールを調整したりと、さまざまな活用方法が考えられます。従来の方法で消費していた無駄な時間・作業を削減し、DXによる効率化の実現にもつながります。

多くの企業がプロジェクト管理ツールの導入を進めている昨今、そのメリットや機能を把握し、自社で活用することが重要視されています。

目次

プロジェクト管理ツールの利用目的

プロジェクト管理ツールを導入する際には、利用目的を明確にすることが最初のステップになります。プロジェクト管理ツールは多機能を備えたツールであるため、使い方は企業によって変わります。具体的にどんな利用方法が検討できるのか確認し、目的を明確化するのがポイントです。

例えばプロジェクト管理ツールの利用目的には、以下のものがあります。

・複数のタスクを適切に管理したい
・課題の進捗状況を管理・共有したい
・個人やチーム単位で仕事量や状況を把握したい
・期限を設定してリマインドによる通知を行いたい
・課題ごとの状況や担当者を把握しやすい体制を構築したい
・スケジュールの詳細やプロジェクトのカレンダーを全体で共有したい
・プロジェクトの情報や書類を管理・共有したい
・事業に必要な承認フローを自動で進めたい
など
上記はあくまで一例であり、そのほかにもさまざまな利用方法が検討できます。

プロジェクト管理ツールを利用するメリット

プロジェクト管理ツールの利用には、多くのメリットがあります。具体的なメリットを把握し、活用方法を考えておくことで、プロジェクト管理ツールの機能を自社に最適な形で利用できるでしょう。以下では、プロジェクト管理ツールの導入・利用におけるメリットを解説します。

進捗の可視化(レポーティング)

プロジェクト管理ツールは、タスク・スケジュール・リソースの管理を効率化できます。作業効率が向上し、時間とリソースの無駄を削減できる点が特徴です。特にPM(プロジェクトマネジャー)は、取り纏められたレポートを確認することで、定例会や会議の時間を削減して、コア業務に注力することが可能になります。

効率の良い情報管理

プロジェクト管理ツールは、タスクやプロジェクトの進行状況を、視覚的に示す機能が備わっています。プロジェクト管理ツールを通して情報を公開・管理することで、チーム全体が進捗状況を把握しやすくなります。

チーム全体が同じペースで作業ができるようになるほか、お互いの不足分を補い合う形でサポートし合える関係を構築可能です。また、ほかのチームが関連するチームのタスクを確認できるようになるため、タスク漏れを未然に防ぎやすい点も魅力です。

タスクの追跡と管理

プロジェクト管理ツールを使うことで、タスクの割り当てや期限の管理が容易になります。チーム内で誰がどんな作業をしているのかをスムーズに把握できるため、優先順位を付けて業務の調整なども行えます。

また、他チームの進捗遅れをチェックし、プロジェクトメンバー同士でタスクを振り分け、リカバリを図ることも可能です。

プロジェクト管理ツールのデメリット

プロジェクト管理ツールを利用する場合、デメリットも把握したうえで導入する必要があります。メリットばかりではないため、事前にデメリットも確認して対策を考えることが重要です。特にプロジェクト管理ツールに依存しすぎると、さまざまなデメリットを抱えるリスクがあります。

ここでは、プロジェクト管理ツールに依存しすぎや結果、発生する可能性のあるデメリットを紹介します。

ツール選定によっては無駄なコストが発生する

一部のプロジェクト管理ツールは、導入費用が発生し、また高額になるケースもあります。導入時にかかるライセンス料だけでなく、サブスクリプション費用、カスタマイズ料、専門のトレーニングコストなど、さまざまなコストがかかる可能性も考慮されます。事前にコスト面を確認し、納得のいく価格帯か検討するのが重要です。

また、導入後に費用対効果を高められるように、具体的な利用方法を早くから考えておくのもポイントです。

過剰に複雑なツールによる効率低減

プロジェクト管理ツールには、多くの機能が備わっています。多機能な点はメリットと考えられますが、必要のない機能まで含まれている場合、操作が難しくなったり、無駄なコストがかかったりといったデメリットにもなり得ます。

プロジェクト管理ツールを導入することで、逆に進捗管理やスケジュール調整の方法が複雑化するケースも懸念されます。また、必要な項目が漏れていると、ほかのデータとの関連性が担保できなくなり、混乱をきたすこともあります。

職場環境や目的次第では、過度に多機能なツールを導入するのではなく、シンプル性を重視することが1つの方法です。

ツール依存による作業負荷向上

プロジェクト管理ツールに頼りすぎるあまり、プロジェクトの進捗情報などを入力する作業負荷が増大し、従業員の負担となるケースもあります。

例えば「入力する項目が多い」「複数のツールに同様な内容を入力しないといけない」「情報間の整合性が保たれてないために混乱が生じてしまう」などの理由が、作業負荷が増えてしまう理由として挙げられます。

作業負荷を軽減するには、極力操作が簡単で、スムーズに既存事業に馴染むプロジェクト管理ツールを使うのがおすすめです。

代表的なプロジェクト管理ツール

プロジェクト管理を徹底的に実施するには、多くのシーンで役立つ管理ツールの把握が重要です。ここでは特に重要なタスク管理、スケジュール管理、WBSを紹介します。WBSをスケジュール管理ツールと誤認して推進しているケースが多くありますが、弊社ではWBSとスケジュール管理ツールは分けて利用することを推奨します。

タスク管理

プロジェクト管理ツールのメインともいえるのが、「タスク管理」です。タスク管理では、主に「タスクの作成と割り当て」「タスク期限の管理」「進捗状況(ステータス)の管理」「タスクのカテゴリ化」「優先順位の決定」など、さまざまな機能があります。

上記の内容は、プロジェクトの進行において必ず管理すべき項目として考えております。それぞれの項目を把握できるように備えることで、5W1Hの視点で管理することが可能になります。メンバー間で何をやらないと、次にどのような影響が発生するのかといった問題も、認識しやすくなります。

WBS

WBSとは、「Work Breakdown Structure」を略したもので、プロジェクトにおける全体の作業から必要なタスクをピックアップし、スケジュールの策定や作業分担を行います。WBSはプロジェクトの作業を階層構造で分解し、管理可能な小さな要素に分割するための方法論です。

そのため、本来WBSはスケジュール管理に使用するものではありません。よく見られるのは、「WBS+スケジュール管理」をWBSと呼ぶケースです。しかし、WBSの特徴を考慮すると、この考え方は誤りといえます。

WBSとスケジュール管理を一緒にしないほうが良い理由として、タスク間の相互管理が不明瞭になり、スケジュール遅延や作業不足などのリスク発生につながる可能性が挙げられます。あくまでWBSの重要機能は、階層構造の明確化、分割方法の定義、タスクの相互関係である点に注意が必要です。

スケジュール管理

スケジュール管理も、プロジェクト管理ツールにおける代表的な存在となります。スケジュール管理で一番重要なことは、「明確な目標設定」です。プロジェクト目標を達成するためには、「いつまでに」「誰が」「何を」「どのように行うのか」を管理する必要があります。

そのためスケジュール管理機能を活用し、WBSに基づくスケジュール作成、リソースの割り当て、期日策定、タスク間の依存関係、進捗を明確にすることがポイントです。

情報共有

プロジェクトの進行において、プロジェクトや各タスクに関する情報が、一部の担当者だけに留まっている状態はリスクにつながります。プロジェクトの進行を妨げる恐れもあるため、関連する情報はチーム・組織の担当者が誰でも簡単に閲覧できる仕組みを用いて、情報共有できる環境を構築することが重要です。

重要な情報を共有して、担当者間のやり取りを最小限に抑えることで、プロジェクト進行を効率化できます。

予算管理

プロジェクト進行のためには予算、つまり「お金」の管理が欠かせません。予算管理を怠れば、お金の配分が失敗して各タスクにおける致命的な過不足を発生させることになるでしょう。予算管理の機能は、過去のデータなどを参照して適切な予算配分を行い、予算面でプロジェクト進行が滞ることがないように調整できます。

プロジェクト管理ツール導入事例

プロジェクト管理ツールを有効活用するには、導入事例を参考にするのもポイントです。ほかの企業がどのようにプロジェクト管理ツールを利用しているのか確認することで、自社で導入する際の注意点や活用方法が考えやすくなります。以下では、プロジェクト管理ツールの導入事例を2点紹介します。

A社(工数1000人月以上の大型案件)

A社は有償のプロジェクト管理ツールを利用し、各チーム間でのタスク進捗状況、レポーティングなどを自動で確認できるように環境整備をしました。さらにプロジェクトのどこにリスクが内包されているかの、どんなリソースが足りていないのかを詳細に算出してくれるツールを利用し、効率化を実現しています。

結果的にPMOはリスクがあるチームに対してヒアリングを行い、関連チームへの情報共有やリスク最小化などの対応を実行に移せました。A社は以前より、日々発生するタスク管理に課題を抱えていました。メンバー間の進捗状況が分からず、タスク漏れが生じることもめずらしくありませんでした。

そこで問題の根本原因を解決するために、正確なタスク管理と進捗の見える化が行える、プロジェクト管理ツール導入の検討を始めました。担当者の外回りや出張が多いことから、クラウド型のプロジェクト管理ツールを選びました。

また、自社のチャットツールと連携できる点も、導入を決めた理由になっています。導入後は、各メンバーが持っているタスクの見える化に成功しました。忘れているタスクもすぐに思い出せるため、タスクの抜け漏れをなくすことに成功しています。現在はツールがしっかりと定着し、チーム全体の生産性も向上しているそうです。

B社(関係者が10人以下の小規模案件)

B社は管理ツールに費用を割さず、スプレットシートやエクセルなどを利用して、必要最低限の項目だけで関係者間での情報共有を行っていました。しかし、PMOは記載されている内容が5W1Hの内容で記載されているのか、ほかのメンバーにも内容が伝わるのかという視点を持ちつつ、管理を行っていました。

伝わりづらい内容については、担当者に再記入を促し、正確な情報連携ができるよううに対応しました。ここで問題として浮上していたのは、スケジュール管理が可視化されていなかった点です。スケジュールは関係者が個別に頭のなかで把握し、メンバー全員でプロジェクトの進捗状況を毎朝報告していました。

そのためスケジュール確認のためだけに毎朝時間を費やさなければならず、作業効率の低下を招いていました。そんな非効率さを改善するために導入したのが、プロジェクト管理ツールとなりました。

まとめ

プロジェクトを円滑に進める上で、管理ツールの導入は非常に有効的です。情報管理やタスク管理とともに、プロジェクトの進行を可視化できます。

プロジェクト管理ツールにも種類が幅広く存在するため、本記事で紹介した事例を参考に自社にあったツール選定を行ってみてはいかがでしょうか。

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